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カテゴリー別アーカイブ: シャツのあれこれ

シャツを縫う糸

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

島本です。

今回は縫い糸について。

布帛(織物)を縫う糸には何種類かあり、スパン、フィラメント、複合糸などがあります。

それぞれ糸の伸び縮み、強さ、見栄えなどが違い生地の質感で選択します。さらに糸の太さ(番手)があり生地の厚さで選択します。専用ミシンにより得意不得意があります。

縫製の仕様には糸以外にミシンの糸の引張強度(糸調子)や針の太さ、釜の調節などがあり、それらが良いバランスで整うことにより美しい縫い目になります。

↓ミシンの釜。上糸と下糸と針が絡み合うところ。重要なセッティング部分です。

服を扱う人には当たり前の知識です。洋服の面(ツラ)を左右する大きな要素ですから。

シャツの縫製工場ではそれぞれセッティングが違い扱う糸も違います。シャツを硬く見せたいのか。柔らかく見せたいのか。扱い慣れている生地やブランディングなどにより、みんな考え方が違いますが目指す仕上がりに到達するために必要な知識です。

当店では生地の番手により縫う糸や種類を変えています。

ビスポークやモデル商品をお買い上げの方は、ぜひ縫い目や縫い糸にも注目してみてくださいね。

ではまた!

クリーニングでの縮みについて

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

島本です。

今回はたまにあるクリーニングでの縮みについてです。

シャツの襟にも様々な作り方があり、その中でも代表的な接着芯を使った衿に多い問題があります。

接着芯とは熱で溶ける糊をアイロンの熱で溶かし生地と接着するタイプの芯地です。

さらに接着芯にも様々な種類があり工場によって使う芯が違います(厚みや素材)

画像のシャツはその接着芯を使った衿の裏側ですが、クリーニングによって縮んだ状態です。元の寸法から2cmも縮んでおりました。

そもそも接着芯は150度前後の温度で圧力をかけ貼るのですが、クリーニングは機械により差はありますが、濡れた状態で180度や200度ぐらいで一気に整形するので相性が良くありません。高温は接着芯の規格外なのです。生地によっては表に糊が染み出る場合もあります。

特に首回りを合わせるオーダーシャツですと少しの縮みで着にくくなったりますよね?(カフスも縮みます)

当店のシャツもお客様により安い方のクリーニングに出されている方がいらっしゃいますが、今のところ縮みは無いようです。(ただしボタンは痛みます)

ですがクリーニング店との相性が悪ければ、いずれ問題が起こる可能性もあります。

縮んでしまったものは元に戻りませんので、交換しか手段がなくなります。

可能であれば家でのお洗濯がオススメですが、難しいですよね。(ネットに入れて洗濯機で洗うのがオススメです!要アイロンの場合が多いです。アイロンの当て方もご相談下さい)

クリーニングに出される場合は一度店舗と相談してみて下さい。クリーニング店も経験があると思いますので良い方向に案内してくださるはずです。

特に2万円を超えるシャツの場合はご注意下さいね。

ではまた!

オーダーというシステムについて

こんにちは!島本です!

今回はオーダーで服を作る事について少し書いてみます。

オーダースーツ店や量販店は数多くありますが、自分がイメージした仕上がりで上がって来る事って少なくないですか?自分もその一人でした。

選択肢が多すぎて逆に選べなくなったり、あの人はかっこいいのに自分はなにかしっくりこない、など。特にスーツは肩パットや打ち合わせ、ボタン位置によってかなり雰囲気が変わると思います。

もちろん個人の体形による差もありますが、それだけではなかったのです。

人に歴史がある様にスーツにも歴史があるのです。

長くなるので細かくはまた別の機会に語りますが、大きくイギリス系、アメリカ系、フランス系、イタリア系に分類されるでしょう。

シャツもしかり。簡単に分類すると北ほどタイトで生地も硬くなり、南に向かうほどゆったりなシルエットで生地も柔らかくなります。

では初めてスーツを作る店でそこが何系のスーツを作るお店かわかりますか?自分は分かりませんでした。もちろん細かくはパーツを選べたりするのですが何か違うんですよね。肩はパットでモリモリだし、細くて動きにくいしと。他にもいろいろなところで作りましたが、どこも違うんですよね。

それもそのはず、ほとんどのスーツ店はイギリス系の仕立てなのです。パット入り、細いシルエットが特徴なのです。(それ以外にもあるよ)これもまた日本にスーツが入ってきた経緯と関係しているのです(また今度書きます)

じゃあアメリカ系やフランス系、イタリア系はどこで作れるのかっていうと探すのが凄く難しく数も少ないです。それでその辺りが選べるかと言うと難しいのです。生地やパーツは色々選べるのですが。そもそも原型から違いますので、全てのジャンルを一店舗で網羅するのは不可能に近いでしょう。

逆に当店でも作れるスーツはイタリアのフィレンツェモデルのみです。肩パットは無く薄い芯、柔らかい生地に軽い仕上がり。パーツや生地、仕様などほとんど選べませんが、完全なフィレンツェスタイルがあります。シャツや靴もそろいます。

ですのでイメージするスタイルがあるならまずは色々調べてみるといいですよ。イギリス、イタリア(ミラノ、フィレンツェ、ナポリ)で調べるとほぼ理想のイメージが出てくると思います。

シャツは色々出来ますのでご相談下さい。

ではまた!

画像はフィレンツェスタイルの一例です。

納品方法について

こんにちは!島本です。

今回は納品方法について。

シャツの納品って箱や畳んだ状態をイメージされると思います。しかし当店で対面でお渡しの場合はハンガー納品をさせて頂いております。

工場で作るフルオーダーであれ島本が作るシャツであれ最後にアイロンをして仕上げています。それなのに畳んだシワが入るのが嫌でこのスタイルで納品させてもらっています。

あと糊付けもしていません。せっかくの上質な生地をパリパリにする意味があまりよく分からないからですね。柔らかい生地をぜひ素肌に羽織って頂きたいです。

付属しているハンガーはスポンジが付いていますので、肩が傷みにくくなっています。引っかかって使いにくいかもですが、ぜひ普段のハンガーで使ってみてくださいね。

あとビニールもかけていますが、これはお客様の家に行くまでの汚れ防止ですので、家に着いたら捨てて頂いて構いません。

最後にいつも付属の生地も入れております。(入ってない場合は教えてください!)

これは衿やカフスが汚れた時や擦れて破れた時に作り直しするための物です。長くご愛用頂くとどうしても傷んできます。衿やカフスの交換でまたワンシーズン寿命が延びますので、ぜひ大切に保管しておいてくださいね。

ではまた!

既製品のシャツ、オーダーのシャツの違いなど

こんにちは!

島本です。

既製品のシャツとオーダーのシャツの違いについてちょっと書いてみようかなと思いまして、宜しくお願い致します。

大きなくくりで違いを言うと大量生産か1着しか作らないかです。

さらに既製品のシャツは何千枚やそれ以上の数を作る大量生産品や10着前後などの少数を作る小ロット生産に分かれます。既製品でも生産方法の違いがあり、ロットが大きいものは品質そこそこで安い売値が特徴です。小ロット生産は品質(仕立て)が良く、売値が高い商品です。大量生産ですと5000円前後、小ロットですと20000円~という感じでしょうか。ざっくりとした目安です。

既製品は部分縫いの職人が大量に作るので品質や製品の管理が高いです。

オーダーシャツは1着しか作りませんが、さらにこちらも細分化されます。ざっくり分けると大型の工場、中型の工場、個人工場です。

大型の工場で作る場合は売値も安く納品も早いのが特徴で一万円以内でお仕立て出来る場合が多いです。

中型の工場も納品が早いですが売値が20000円前後と高額の場合があります。

大型、中型は品質も様々でフィッティングも細かく調節出来たり出来なかったりと、お店でかなり幅があります。

最後に当店のような個人店になります。個人店の場合は作家性が強いのでデザインや細部の拘りが強く、納期も長く高額なのが特徴です。安くて30000円~でしょうか。

オーダーシャツは既製品に比べると仕立てのレベルが落ちますので、既製品と同じ値段で品質を比べると差があります。注意が必要な部分です。

オーダーシャツでもこれだけの差があり、どこで注文するか迷いますよね。

品質を求めるのか、こだわりを求めるのか、安さ、速さを求めるのか。

品質であれば20000円前後の既製品や中型のオーダー工場、こだわりを求めるなら個人工場、安さ速さを求めるなら大量生産品や大型のオーダー工場がいいでしょう。

初めてのオーダーの場合一度お店に相談してみるのもいいかもしれません。当店では相談だけでも大丈夫ですのお気軽にお問合せ頂けたらと思います。

あと当店では中型の工場で作るフルオーダーと島本が仕立てるモデル商品やビスポーク(色々出来る感じ)が御座います。

フルオーダーは細部まで寸法設定できますが、仕立てはそこそこで納期は一月前後、島本が仕立てるものは2か月前後と時間がかかりますが、マニアックな仕立てやこだわりのシャツをご提案出来ます。

少しでも参考になればいいですが、皆様が良いシャツに出会えるよう島本も努力を続けて参ります。

ではまた!

芯について

こんにちは。

島本です。

衿やカフスには硬さや張りを出すための「芯」というものを入れております。

オーダー頂く時にも説明しておりますが、フルオーダー(外注)の場合は3種類からお選び頂けますし、衿とカフスで硬さを変える事が可能です。

オススメはレギュラーです。少し硬いですが長持ちします。

ビスポークやモデルがあるシャツは選べないか2種類です。

ふらし芯かハード芯、カジュアル用の薄いタイプのモデルもあります。

衿見本も御座いますので、気になる方はご相談下さい。

ではまた。

ご覧いただきありがとうございます。

島本です。

今回は当店最高級モデル、Model F(モデルエッフェ)のご紹介

生地はデパートのオーダーシャツで使われるものより高級なものを使用し柔らかく縫い上げたシャツは、適度な抜け感を出しながらどんなシーンでもお使い頂けるシャツです。

ネクタイを締めてもいいですし、コットンパンツに少し前を開けて着て頂いてもセクシーな雰囲気を演出致します。

今回はイタリアの生地メーカーのリネン100%の生地を使いお作りさせて頂きました。

リネンはこれからの季節に大活躍ですが、そのまま冬も使って頂けます。

素材的にどうしてもカジュアル寄りにはなりますが、日々のローテーションに入れて頂きたい素材です。

モデルエッフェは55000円~でフルオーダー、既成サイズからですと38,500円~税込みです。

お問い合わせお待ちしております。

袖周りの処理 袋縫いをするための準備で余分な縫い代を切っています

カフス付け

裾の処理 この素材はリネンですので細く巻くのがとても難しいので縫製に気を遣う部分です。

衿付け 衿付けステッチはモデルエッフェで一番気を使うところ

柔らかな衿 抜け感を演出するモデルエッフェの特徴です。

袖付け 袖は後付けで前振りに取り付けます。

ボタン付け 特別な白蝶貝ボタンを全て手付で

Model F モデルエッフェ 高級生地とゆったりしたゆとりが特徴の高級モデルです

体型補正について①

こんにちは!島本です!当HPをご覧頂き、ありがとうございます。

オーダーシャツで合わせる部分は寸法だけでなく、お客様の体に合わせた体型補正も行います。

今回は当店のフルオーダーシャツコースで補正出来る「怒り肩」、「なで肩」について説明したいと思います。

既製品のシャツは「正体」(せいたい)という日本人の平均体型に合わせて作られており、全ての人が着やすく作るのは非常に難しいのです。

なので標準の肩の高さに合わせて作られるのですが、合わない方が着ると画像の様な斜めのシワが出ます。

怒り肩は肩先に引っ張られる様なシワ、なで肩の方はㇵの字にシワが出ます。

フルオーダーシャツではこの辺りも無料で調節しています。

それと画像にある運動量のゆとりで出るシワについてです。

シャツ生地は基本的に伸びませんので、色々な方向に動く部分に「ゆとり」を設けます。その運動量が腕を下した時に縦シワとして出ます。このシワを取ると少しの分量ですがかなり動きにくくなるので注意が必要です。

ストレッチ生地ならこのシワも取れますので、ご相談下さい。

次回は「反身体」「屈伸体」についてです!

お楽しみに!